ニューヨークの家庭菜園と聞くと、どのようなものをイメージしますか?〝とにかく広い〟イメージのあるアメリカですが、都市部の生活はどこでも同じ。やはり、限られた空間をいかに使うかがポイントとなります。高層ビルがひしめく中で車や人が往きかうニューヨークでは、小さなワンルームの家賃が月1800ドルなど当たり前です。
そこで、自然にもっと癒された生活をしたいと方も多いでしょう。ここには、セントラルパークやプロスペクトパークなどの素晴らしい公園がありますが、より身近な存在として「家庭菜園」を選ぶ人が増えています。
もちろん、インフレで高騰する野菜を自分で育てようという人もいますが、観葉植物や家庭菜園でリラックスしたいという方も多いようです。また、日本の野菜の種や苗も、アメリカで簡単に入手できるようになりました。専門の種苗会社やオンラインストアをのぞいてみれば、多くの野菜の種が入手できるでしょう。それでは、ニューヨークの家庭菜園で育てられる野菜はどんなものか見ていきましょう。
ニューヨークの家庭菜園で育てる葉物野菜(Leafy Greens)
まずは、ニューヨークの家庭菜園で育つ葉物野菜から見ていきましょう。
水菜 Mizuna (Japanese Mustard Greens)
説明: マイルドで少しピリッとほんのりした辛味があります。そして、柔らかい食感のため、サラダやスープ、炒め物によく使われます。
品種: 紫水菜、京都水菜
栽培条件: 成長が早く、30~40日程度で育ちます。そのため、水はけがよく、日光が十分に当たる肥沃な土壌が最適です。さらに、涼しい気候でよく育ち軽い霜にも耐えられるので、早春や秋の植え付けに最適です。まさに、ニューヨークの家庭菜園にも最適です。
購入場所: Kitazawa Seed Co., Baker Creek Heirloom Seeds
小松菜 Komatsuna (Japanese Mustard Spinach)
説明: ほうれん草に似ていますが、少しスパイシーでマスタードのような風味があります。スープ、炒め物、漬物など用途の広い葉物野菜です。
品種: サマーフェスト小松菜
栽培条件: 涼しい気温を好み、春や秋によく育ちます。さらに、半日陰でも育ちますが、肥沃で水はけのよい土壌が必要です。
購入場所: Johnny’s Selected Seeds
紫蘇 Shiso (Perilla) – Green and Red varieties
説明: バジル、ミント、アニスの香りがするフレッシュハーブです。緑と赤の品種があり、寿司やサラダ、漬物などに適しています。
栽培条件: ニューヨークの家庭菜園で育てられている日本食材としては、ダントツの人気です。まず、シソは、暖かい気候と日当たりの良い場所でよく育つことがその要因の一つです。しかし、茂りやすいため、水はけのよい土壌と定期的な水やり、そして程よいスペースを確保することが重要です。
購入場所: Kitazawa Seed Co., local Asian nurseries
ニューヨークの家庭菜園で育てる根菜類(Root Vegetables)
次は根菜類です。
大根 Daikon Radish – Multiple varieties (including Aokubi, Minowase, and Miyashige)
説明:長くて白く シャキシャキ感が特徴です。生で食べるとほんのり甘く、漬物やスープ、サラダ、炒め物に使用されます。緑色の葉で、漬物によく使われるアオクビ、長くて白い、マイルドな味のミノワセ、そしてサクラスイート、ミヤシゲなど他にも複数の品種があります。
栽培条件: 大根は、水はけのよい土壌で最もよく育ちます。さらに、涼しい気候を好み、50~70 日で成熟します。長い根を生やすには、深い土 (12~18 インチ) が必要です。涼しい気候のときに植え、水浸しの土は割れの原因となるので避けてください。
購入場所: Territorial Seed Co.
ハクレイ カブ Japanese Turnip (白麗)
説明: マイルドな甘さとシャキシャキ感が特徴です。茎も葉も食べられ、サラダやローストに最適です。しかし、生でも調理済みでも、様々な料理に彩りを与えます。
栽培条件: カブは涼しい季節に生育する作物で、成長が早いです。さらに、涼しい気候で栽培しやすく、30~40 日で収穫できます。日当たりがよく、水はけのよい土壌に植えてください。また、根が木質化しないように、土壌を常に湿らせておくのがコツです。
購入先: Burpee, Johnny’s Selected Seeds
ゴボウ Burdock Root (Gobo)
説明: きんぴらゴボウに欠かせない食材です。土っぽい風味が特徴の根菜類です。少し甘さがあり、独特な食感を持っており、炒め物、スープ、漬物などに使われます。
栽培条件: 長い主根を生やすため、深くて緩い土が必要です。さらに、成熟するまでの成長が遅く6~12か月かかります。また、涼しい気温を好み、春に植えて秋に収穫することが多いです。ニューヨークの家庭菜園としては難易度が高いですが、密かな人気を呼んでいます。
購入先: Kitazawa Seed Co.
ニューヨークの家庭菜園で育てるみのり野菜(Fruiting Vegetables)
日本ナス Japanese Eggplant –Varieties (like Ichiban and Millionaire)
説明: 甘くて繊細な野菜です。従来のナスの品種に比べて苦味が少ないのが特徴です。また、細くて皮が柔らかいため、グリルや炒め物に最適です。
品種: イチバン、ミリオネア、久留米ロング
栽培条件: 十分な日光と温暖な気候または温室栽培が最適です。さらに、日本ナスは有機物が豊富な土壌で最もよく育ちます。定期的な水やりが必要ですが、水やりの合間に少し乾かす必要があります。
購入場所: Ferry-Morse Seeds, Home Depot (seasonal seedlings)
キュウリ Japanese Cucumber –Thin-skinned and crisp
説明: 皮が薄く、シャキシャキしていて、通常のキュウリよりも苦みが少ないのが特徴です。一般的に、サラダやピクルスにして生で食べることが多いです。
品種: ソアラ(Soarer)、テイスティ・ジェイド(Tasty Jade)
栽培条件: 温暖な気候と十分な日差しが必要です。そして、肥沃で水はけのよい土壌に植え、たっぷりと水を与えます。また、まっすぐに成長させるにはトレリスに誘引します。日本のキュウリはスペースを節約するために、棚に垂直に立てて育てられます。
購入先: Kitazawa Seed Co., Johnny’s Selected Seeds
ししとう Shishito Peppers
説明: グリルまたはソテーによく使われる、マイルドでほんのり甘いピーマンです。時には少しスパイシーですが、それがまた人気となっています。
栽培条件: 直射日光が当たる場所で、容器に入れて育てるのがお勧めです。また、肥沃で水はけのよい土壌で育てるのがベストです。容器または地植えで栽培できます。まず、土壌を均一に湿らせる必要がありますが、水のやりすぎには注意してください。近年、ニューヨークの家庭菜園で人気急上昇中です。
購入先: Baker Creek Heirloom Seeds
枝豆 Edamame (Soybeans)
説明: スナックや料理用の若い大豆です。甘くて少し青臭く、蒸して塩漬けにして食べることが多いです。
品種: チバグリーン、ミドリ ジャイアント
栽培条件: 枝豆は暖かい気候と十分な日光が必要です。まず、晩春に、水はけのよい肥沃な土壌に植えます。この時、株間を十分に空けるようにしてください。さらに、定期的な水やりは欠かせません。特に、さやができ始めてからはなおさらです。ニューヨークの家庭菜園で人気が高い野菜の一つです。
購入先: Territorial Seed Co., local nurseries
ニューヨークの家庭菜園で育てるその他の野菜(Other Vegetables)
かぼちゃ Kabocha Squash (Japanese Pumpkin)
説明: 甘くて濃厚、ナッツのような味で、スープ、シチュー、天ぷら、デザートに使われます。
品種: サンシャイン、スウィートママ
栽培条件: 蔓が広がることができる、十分なスペース確保が必要です。秋に収穫しますが、生育期間が長く、気温が高い環境下であることが必要です。肥沃で水はけのよい土壌に植え、定期的な水やりが豊作につながります。
購入場所: Johnny’s Selected Seeds
長ネギ Naga Negi (Japanese Bunching Onion)
説明: 通常の玉ねぎよりもマイルドな風味が特徴です。スープ、サラダ、付け合わせによく使われます。
栽培条件: 涼しい気候で育ち、成長が早いです。日当たりがよく、水はけのよい土壌で最もよく育ちます。種を直接蒔くことも、苗から育てることもできます。特に乾期には、定期的に水をあげてください。
購入場所: Asian seed companies
レンコン Lotus Root (Renkon) – Often grown from rhizomes rather than seeds
説明: 炒め物やスープ用のカリカリでデンプン質の根菜です。種子ではなく根茎から栽培されるのが一般的です。シャキシャキ食感で、マイルドで土っぽい風味もあります。
栽培条件: 根茎から育つ蓮根は、池か非常に湿った土壌が必要です。アメリカの家庭菜園では、通常、水を溜めた容器などで栽培されます。成熟には長い栽培期間が必要です。
購入場所: Specialty Asian garden suppliers (seasonal availability).
ニューヨークの家庭菜園で育てるハーブ系(Herbs and Seasonings)
さて、次にハーブ系を見てみましょう。
三つ葉 Mitsuba (Japanese Parsley)
説明: マイルドでわずかにピリッとした味です。スープ、サラダ、付け合わせに使用します。
栽培条件: 涼しい気温を好み、半日陰でもよく育ちます。肥沃で湿った土壌に植えるのがコツです。また、定期的な水やりと良好な排水が不可欠です。
購入場所: True Leaf Market
ワサビ Wasabi – Grown from rhizomes, typically requires specific conditions
説明: 辛くてスパイシーで香りが強く、寿司などのシーズニングとして使用されます。
栽培条件: 12~15℃前後の年間平均気温が適しています。まずは、高温多湿を避け、夏は日陰や水で冷却する工夫をしましょう。さらに、冬は霜が降りるような低温にならないように注意します。直射日光を避け、適度な日陰がある場所を用意してください。根が弱いため、風通しも考慮して、適切な場所の確保が大切です。
購入場所: Marde Ross & Company
ニューヨークの家庭菜園用の種など購入場所
- オンラインストア
- Kitazawa Seed Company: アジアの野菜の種子を専門に扱っています
- Johnny’s Selected Seeds: さまざまな日本の野菜を提供しています。
- Baker Creek Heirloom Seeds: 伝統的な品種がいくつかあります。
- 地元の苗床または日本の市場
- 一部の園芸センターや日本の食料品店では、春に苗を扱っている場合があります。
- 専門農場
- 米国の特定の農場 (カリフォルニア、オレゴン、ハワイなど) はアジアの農産物に特化しており、種子や苗を販売している場合があります。
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