ここでは、ニューヨークをちょっと離れて、色についてのお話をしたいと思います。なぜでしょうか。世界では、デジタル化が一気に進み、スマートフォンも生活に欠かせない必需品となりました。今後も、そのスピードが早まると予想され、そこで知っておくと便利なのが「色」についてです。なんと、デジタル画像の「色」と、本や雑誌上での「色」は、全く異なる性質を持っているのです。そのことを理解することが、重要になってきています。
RGBとCMYKってなんだ?
世の中には多くの「色」が存在します。そこには、「光の三原色」と「色料の三原色」という二つの表示方法が存在します。デザイン分野ではお馴染みですが、ここでは、この色の基礎知識について触れてみましょう。
光の三原色RGB(ディスプレイの色の表示)
まず、デジタル界で基本となるのがRGBです。赤(RED)、緑(GREEN)、青(BLUE)の三色が基本となります。この三色を重ね合わせ表現した「色」を「光の三原色」と呼びます。頭文字を取って「RGB」と呼びます。
デジタル画像は、小さなピクセル(画素)の組み合わせでイメージを映し出しています。テレビやPCの表示されるデジタル画像を細かく見れば気づくかもしれません。赤と緑で「黄」、緑と青で「シアン(藍)」、青と赤では「マジェンタ(紫ががったピンク)」。さらに、赤と緑、青の三色を重ねれば「白」、何も重ねなければ「黒」を表現します。
RGBは1677万7216色の表現が可能
このRGBは、それぞれに濃淡を持たせた256の階調データが用意されています。そして、RGB各256色を掛け合わせた1677万7216色の表現が可能です。この全ての色域で表現するイメージを「フルカラー」と呼びます。「1677万色」「1670万色」と表現することもあります。また、RGB各色に2進数の8乗=256のデータ情報が割り当てられているため「RGB各8ビット」「24ビットカラー」と呼んだりもします。実際には、自然界には無限の色が存在し、人間の目で判断できる色数には限りがあることから、これら1677万の色を「トゥルーカラー」と呼んだりもします。
24ビット=2の24乗で1677万7216色
デジタル界の情報単位は2進数が使われています。2進数の1桁が2の1乗=2となり、これが「1ビット」。つまり2ビット=4、4ビット=16、8ビット=256。24ビット=2の24乗で1677万7216色のデータ量が扱える計算です。そのため、フルカラーを8ビットにし、データ量を3分の1にこともできます。256諧調の全てを白黒濃淡だけのモノクロにする「グレースケール」も可能です。ちなみに8ビット変換では、1677万7216色から任意の256色が自動的に選ばれます。その結果、違和感のない綺麗な画像へと変換されるようになるのです。
色料の三原色CMYK(印刷物の色の表示)
一方で、インクや絵の具を混ぜ合わせて作られる色を「色料の三原色」と呼びます。シアン、マジェンタ、イエロー(黄)の三色が基本構成要素です。シアンとマジェンタを混ぜ合わせて「青」。マジェンタと黄を混ぜ合わせて「赤」。黄とシアンを混ぜ合わせて「緑」。そして全てを混ぜると「黒」になります。印刷領域においては、このCMYKの調整が、非常に重要になります。
デジタルに慣れたデザイナーさんは、この違いを理解していないこともあります。RGBのデータを印刷し、出力結果が大きく違ってしまうケースもあるようです。そのため、デジタル用のデータを印刷するには、十分な知識と注意が必要なのです。
画像データのフォーマットを知る
次に、画像ファイルのフォーマットについて見てみましょう。データを最終的にファイル保存する際には、適切な形式を選ばなければなりません。基本的には、機種やアプリによる違い、圧縮率の違いがあります。それぞれに特徴がありますので、主な拡張子と簡単な説明をしておきます。
BitMap(ビットマップ .bmp)
Windowsの標準的な画像フォーマット。単純な構造のため、あまり圧縮率は高くありません。そして、比較的ファイルサイズは大きくなってしまいます。
PICT(ピクト .pct / .pict)PICTure
可逆圧縮。Apple(Machintosh)の標準的な画像フォーマットです。独自の圧縮方法で画像によっては3分の2ぐらいのサイズに減らすことができます。
JPEG (ジェイペグ .jpg / .jpeg):Joint Photographic Experts Group
この規格を定めた団体の名前から付けられた、最も一般的な保存形式のひとつです。国際標準化機構(ISO)などと共同標準化しています。最大100分の1のサイズに圧縮可能なほど圧縮技術に優れています。そして、最大1600万色を使用することができます。その圧縮率の高さとデータサイズの小ささで、静止画像圧縮の国際標準となっています。
ウェブサイトの、徐々にイメージが表示されるプログレッシブJPEGなどもあります。圧縮レベルを設定することもできます。しかし、圧縮レベルを上げればファイルが小さくなる代わりに画質は低下します。一方で、レベルを下げれば高画質を保てますが、ファイルは大きくなります。(MPEG:Motion Picture Experts Group)
注意点としては、圧縮過程で元データの一部を省略し失われるという点です。何度も保存を繰り返すと画質が悪化してしまいます。数回程度の圧縮では見た目上での違いは認識できません(非可逆圧縮)。
GIF(ジフ .gif):Graphic Interchange Format
コンピュサーブが開発した、様々なPC間での画像交換を目的にしたフォーマットです。1677万色のうち256色が表示可能です。データを4分の3から3分の2程度に圧縮することができます。複数の画像を連続再生する「アニメーションGIF」なども一般的です。
TIFF(ティフ .tif / .tiff):Tagged Image File Format
可逆圧縮。アルダス社(アドビ社が買収)とマイクロソフトの共同開発したフォーマットです。データの前にタグという説明を置くことで、異なる機種間でも相互的に読み込めます。色数、階調などあらゆる規格に対応し、汎用性も高いフォーマットです。
PNG(ピィーエヌジー .png)Portable Netwokr Graphics
可逆圧縮の保存方式で、JPEGと同様に1600万色に対応しています。しかし、JPEGよりも多くの保存スペースを使用します。透明背景のグラフィックを処理する機能を持っています。ウェブでの使用を考慮した設計のため、CMYKモードをサポートしていません。
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