まず始めに、メジャーリーグベースボール(MLB)のワールドシリーズが初めて開催されたのは何年だかご存知でしょうか。なんと、今から約120年前、「1903年」のことです。その後、多くの名試合が行われ、そして長年語られ続けてきました。しかし、残念ながら諸々の理由で、1904年と1994年の2回が開催されることはありませんでした。その理由は後にお伝えするとして、ここでは、歴代の優勝チームと対戦結果、タイトル獲得数を見てみましょう。
ヤンキースは最多の27回、メッツは2回の優勝経験!
ニューヨーク・ヤンキースが優勝した年は、こちらの27回です。さらに、今年2024年、28回目の優勝をかけて、ロサンゼルス・ドジャースと対戦しました。しかし、残念ながらドジャースの優勝という結果になりました。
1923年、1927年、1928年、1932年、1936年、1937年、1938年、1939年、1941年、1943年、1947年、1949年、1950年、1951年、1952年、1953年、1956年、1958年、1961年、1962年、1977年、1978年、1996年、1998年、1999年、2000年、2009年
なんと、最後の優勝から、すでに15年が経過しています。
さて、ニューヨーク・メッツが優勝したのは何回でしょう。1969年、1986年と2回の優勝実績を持っています。2024年はポストシーズンでロサンゼルス・ドジャースに負けてしまいましたが、久々のメッツ優勝に、ファンの大きな期待が寄せられました。
それでは、ALの最多優勝チームはどこだか分かりますか?その通り、やはりニューヨーク・ヤンキースです。メジャーリーグ30チームのほとんどのチームが初優勝を目指し奮闘する中、なんとヤンキースは、1920年代から1970年代にかけ黄金時代を含め27回もの最多優勝を誇ります。一方、ニューヨーク・メッツも2回のワールドシリーズ制覇実績があります。
最初のワールドシリーズ1903年から1950年
- 1903年: ボストン・アメリカンズ(後のレッドソックス) 5-3 ピッツバーグ・パイレーツ
- 最初のワールドシリーズ
- 1904年: 中止(ニューヨーク・ジャイアンツが対戦を拒否)
- 1905年: ニューヨーク・ジャイアンツ 4-1 フィラデルフィア・アスレチックス
- 1906年: シカゴ・ホワイトソックス 4-2 シカゴ・カブス
- 1907年: シカゴ・カブス 4-0-1 デトロイト・タイガース
- 1908年: シカゴ・カブス 4-1 デトロイト・タイガース
- カブスの最後の優勝は108年後の2016年まで続く
- 1919年: シンシナティ・レッズ 5-3 シカゴ・ホワイトソックス
- 「ブラックソックス事件」として知られる八百長スキャンダル
- 1920年: クリーブランド・インディアンス 5-2 ブルックリン・ロビンズ
- 1923年: ニューヨーク・ヤンキース 4-2 ニューヨーク・ジャイアンツ
- ヤンキースの初優勝
- 1927年: ニューヨーク・ヤンキース 4-0 ピッツバーグ・パイレーツ
- 「マーダラーズ・ロウ」時代のヤンキース
- 1932年: ニューヨーク・ヤンキース 4-0 シカゴ・カブス
- 特に、ベーブ・ルースの「予告ホームラン」が有名
- 1947年: ニューヨーク・ヤンキース 4-3 ブルックリン・ドジャース
ミラクル・メッツを含む1951年〜2000年
- 1955年: ブルックリン・ドジャース 4-3 ニューヨーク・ヤンキース
- ドジャースの初優勝
- 1969年: ニューヨーク・メッツ 4-1 ボルチモア・オリオールズ
- 以後、語り継がれていく「ミラクル・メッツ」
- 1975年: シンシナティ・レッズ 4-3 ボストン・レッドソックス
- 特に、ゲーム6のカールトン・フィスクの劇的なホームランが有名
- 1986年: ニューヨーク・メッツ 4-3 ボストン・レッドソックス
- 特に、第6戦の「バックナー事件」が語り継がれる
86年ぶりのボストン・レッドソックス復活(2001年以降)
- 2004年: ボストン・レッドソックス 4-0 セントルイス・カージナルス
- ボストン・レッドソックス、86年ぶりの「バンビーノの呪い」から解放
- 2010年: サンフランシスコ・ジャイアンツ 4-1 テキサス・レンジャーズ
- 2011年: セントルイス・カージナルス 4-3 テキサス・レンジャーズ
- 2012年: サンフランシスコ・ジャイアンツ 4-0 デトロイト・タイガース
- 2013年: ボストン・レッドソックス 4-2 セントルイス・カージナルス
- 2014年: サンフランシスコ・ジャイアンツ 4-3 カンザスシティ・ロイヤルズ
- 2015年: カンザスシティ・ロイヤルズ 4-1 ニューヨーク・メッツ
- 2016年: シカゴ・カブス 4-3 クリーブランド・インディアンス
- 108年ぶりとなるカブスの優勝
- 2017年: ヒューストン・アストロズ 4-3 ロサンゼルス・ドジャース
- 2018年: ボストン・レッドソックス 4-1 ロサンゼルス・ドジャース
- 2019年: ワシントン・ナショナルズ 4-3 ヒューストン・アストロズ
- 2020年: ロサンゼルス・ドジャース 4-2 タンパベイ・レイズ
- 2021年: アトランタ・ブレーブス 4-2 ヒューストン・アストロズ
- 2022年: ヒューストン・アストロズ 4-2 フィラデルフィア・フィリーズ
- 2023年: テキサス・レンジャーズ 4-1 アリゾナ・ダイヤモンドバックス
- 2024年: ロサンゼルス・ドジャース 4-1 ニューヨーク・ヤンキース
AL最多優勝はヤンキース、NL最多優勝は…
アメリカン・リーグ(AL)
- ニューヨーク・ヤンキース: 27回(最新は2009年)
- オークランド・アスレチックス: 9回(最新は1989年)
- ボストン・レッドソックス: 9回、特に2004年の「呪い」からの優勝は有名(最新は2018年)
- デトロイト・タイガース: 4回(最新は1984年)
- シカゴ・ホワイトソックス: 3回(最新は2005年)
- ボルチモア・オリオールズ: 3回(最新は1983年)
- ミネソタ・ツインズ: 3回(最新は1991年)
- カンザスシティ・ロイヤルズ: 2回(最新は2015年)
- クリーブランド・ガーディアンズ(旧インディアンス): 2回(最新は1948年)
- ヒューストン・アストロズ: 2回(最新は2022年)
- トロント・ブルージェイズ: 2回(最新は1993年)
- ロサンゼルス・エンゼルス: 1回(2002年)
- タンパベイ・レイズ: 0回
- シアトル・マリナーズ: 0回
- テキサス・レンジャーズ: 1回(2023年)
ナショナル・リーグ(NL)
- セントルイス・カージナルス: 11回でナショナルリーグで最多(最新は2011年)
- サンフランシスコ・ジャイアンツ: 8回(最新は2014年)
- ロサンゼルス・ドジャース: 8回(最新は2024年)
- シンシナティ・レッズ: 5回(最新は1990年)
- ピッツバーグ・パイレーツ: 5回(最新は1979年)
- アトランタ・ブレーブス: 4回(最新は2021年)
- シカゴ・カブス: 3回(最新は2016年)
- フィラデルフィア・フィリーズ: 2回(最新は2008年)
- ニューヨーク・メッツ: 2回(最新は1986年)
- マイアミ・マーリンズ: 2回(最新は2003年)
- アリゾナ・ダイヤモンドバックス: 1回(2001年)
- ミルウォーキー・ブルワーズ: 0回
- サンディエゴ・パドレス: 0回
- コロラド・ロッキーズ: 0回
- ワシントン・ナショナルズ: 1回(2019年)
過去2回のワールドシリーズ中止理由は?
先述のとおり、MLBワールドシリーズは1904年と1994年の2回、開催されることはありませんでした。その理由は、下記の通りです。
1. 1904年の中止は、対戦拒否
まず、初めてのワールドシリーズが開催されたのが1903年のことです。しかし、翌年1904年には、当時のナショナルリーグ(NL)優勝チームであったニューヨーク・ジャイアンツ(現在のサンフランシスコ・ジャイアンツ)が、アメリカンリーグ(AL)のチームとの対戦を拒否しました。それが、中止の原因となりました。
ジャイアンツのオーナーであるジョン・T・ブラッシュとマネージャーのジョン・マグローは、アメリカンリーグを「二流のリーグ」と見なしていました。そのため、アメリカンリーグで優勝したとしても、対戦する価値はないと考えました。その結果、その年のアメリカンリーグ優勝チーム「ボストン・アメリカンズ(後のボストン・レッドソックス)」との対戦を拒否。こうした理由から、1904年にワールドシリーズが行われることはありませんでした。
その後、この対戦拒否に対する批判があがり、1905年以降はワールドシリーズが再開され、今日まで続いています。
2. 1994年の中止は、選手ストライキ
次に、ワールドシリーズが中止となったのは1994年のことです。この時の理由は、MLBの歴史上初めての選手ストライキです。ストライキは、選手側とオーナー側の間で収益分配やサラリーキャップ(年俸上限)の導入を巡る争いが引き金でした。そして、選手たちは、オーナー側が提案したサラリーキャップに反対し、8月12日からストライキを開始。その結果シーズンはその時点で打ち切り、ポストシーズンやワールドシリーズも行われずに終了しました。
さらに、1994年のストライキは232日間続き、翌1995年のシーズンにも大きな影響を及ぼしました。しかし、これは当然ですが、この中止によるファンの失望は大きく、ファン離れをもたらす結果となりました。その後、MLBはファンを取り戻すために努力を重ね、徐々に人気を回復させてきたという歴史があります。
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